酸化防止剤無添加という名前に騙されないで

ワインはフレッシュなブドウを搾った果汁から造られます。

搾ったブドウ果汁をそのままの状態で放置して何も変化しないわけがないと思いませんか?

『言われてみればそうかもしれない』

果汁が醗酵を始めるまでにかなり時間がかかります。であれば、ブドウ果汁もリンゴと同じように空気に触れることで酸化してしまいます。

『でも、日本には酸化防止剤無添加と謳っているワインが存在する…』

はい。でも、よく考えてみてください。世界中の全てのワインが酸化防止剤を使って造られている中、人件費の高い日本において数百円でそんな夢のようなワインを造ることができると思いますか?

『確かに…そうだね。しかもあんなに大量に。どこのスーパーでもコンビニでも見かけるし…』

そうなんです。

一般的に、

ワインは農産物ですが、日本で売られている酸化防止剤無添加ワインは【工業製品】と言っても過言ではありません。

酸化防止剤を使わない為の工業的な処理がなされているんです!

『えっ、それはひどいよ』

はい。本当にひどい話です。

『だったらそれは”ワインではない”ということよね』

その通りです。

日本で売られている”酸化防止剤無添加”と書かれたワインは他の国ではワインとはとても呼べない”まがいモノ”です。

マーケティングの観点から一般消費者の安心感を得るために「無添加」というネーミングを使用し、工業的に造ったアルコール飲料。

『でも、誰もが知っている大手メーカーが造っているよね』

そうなんです!何よりも許せないのは、

一方では”ちゃんとしたワイン”をまじめに造っている大手のビールメーカーや酒造会社が、これらの”まがいモノ”を大々的に売り出していることです。

『まぁまぁ、抑えて抑えて』

世界のワイン生産国にはワインに関する明瞭な法律がありますが、残念ながら日本にはワイン法が存在しません。ですから、このような粗悪な液体までワインと呼べてしまうのです。

『じゃあ、”酸化防止剤無添加”ワインって何なんだろう?』

一般的なワインとは全く違った製造工程でもって工場で大量生産される”人工果実酒”です。

『具体的には?』

国産ワインと書かれていても果汁は外国産です!濃縮し冷凍して輸入されます。

この段階で、ワインと呼べる国は他にありません。

『えっ、国産ワインなのに外国産のブドウが使われているの?』

国産のブドウがこんなに安いはずがありません。さらに、酸化させないための工業的手法に頼ることになります。

『もう何をしても、どう手を加えても驚かないけど…』

例えば、何をするのかというと、

冷凍濃縮果汁を水で戻して糖分を加え、そして醗酵させます。

濃縮果汁なんてものを使用した液体をワインと呼べる国は…もういいです。

さらに、

加熱殺菌することでワインの風味を殺し、今後一切熟成しない状態にしてしまいます。

また、濾過して酵母などの旨みを取り除かなくてはいけないため、味わいが不自然になります。そのため、香りや味わいをこっそり付け加えるわけです。

ウィキペディアの日本のワインの項目にも下記のような記載があります。

概要

日本で生産されているワインのうち、約80%は海外から輸入した濃縮ぶどう果汁を日本国内の工場で水で薄め、糖分を加えて「国産ワイン」とのラベルで出荷されている。スーパーやコンビニで販売されている「国産ワイン」のほとんどはかかる製造方法によるワインであるが、国際的には生ぶどうを原料とする醸造酒だけがワインとされており、日本で販売されているこのような「国産ワイン」はワインとして認められていない。

出典:日本のワイン

発泡酒をビールとは呼べないように、これらをただの果実酒として出荷するなら何も言いません。

ワインと表記するから問題なのです。

『ワインって、酸化防止剤を使わないとちゃんと造れないってことね』

さらに加えれば、

出来上がったワインも酸化に弱く、酸化防止剤を使用しないとまず健全な熟成は望めません。

これらはワイン業界的には常識です。

『でも、ちょっと名前が悪かったね。”酸化防止剤”って』

そうですね。この名前が良くない食品添加物を連想させるのかもしれません。

そして、いつからか「酸化防止剤無添加ワイン」のマーケティングによって”酸化防止剤”という名前だけが独り歩きし、ワインをあまり存じない方にとって悪者の様な存在になってしまいました。

『最近の日本のワインは格段に良くなってきたって聞くんだけどなぁ』

その通りです。近年、日本で栽培されるブドウから造られる日本のワインは目覚ましい進歩を見せており、

世界に出しても全く遜色のない素晴らしいワインがたくさん造られています。

これらの日本のワインと<酸化防止剤無添加ワイン>は全く別物です。

そして、最近ようやく下記の件が検討され始めました。

【国産ワイン、実は4分の3が輸入果汁を使っていた】

政府が国産ワインの表示ルールを見直す。国産ブドウのみを原料に、醸造まで全ての工程を国内で行った「純国産」のワインを新たに定義付ける。輸入果汁を原料に造ったワインも「国産ワイン」に含む現在の表示方法と差別化を図り、純国産ワインのブランド価値の向上につなげる。

原料の全てに国産ブドウを使った純国産の商品だけでなく、原料が国産でないワインや、純国産と輸入ワインとを混ぜ合わせた商品も全て「国産ワイン」と位置付けている。

海外では産地ごとに厳しい基準を定めてブランド化している国や地域が多い。例えばフランスではワイン法で「原産地統制名称」を定め、地域ごとに使用するブドウ品種などを決めている。ブルゴーニュ地方のシャブリ地区で栽培したシャルドネ種を原料に、製造した白ワインのみが「シャブリ」を名乗れるのがその代表だ。

 

出典:日経ビジネス

本当はこのような”まがいモノ”にワインという名称を使ってほしくないのですが、ひとまず、日本でちゃんとまじめにワインを造っている方の為にも、早急に法整備されることを望みます。

『でも、酸化防止剤って何なの?』

はい。ではこちらでお話しします。

画像出典:http://img.gathery.recruit-lifestyle.co.jp/r/article/1143507109666506601/3443a95343e620b535e67c836b50253b.jpg?size=pict160_160

ワインの酸化防止剤って、いったい何ものなの? | ギャザリー by リクルート

http://gathery.recruit-lifestyle.co.jp/article/1143507109666506601

酸化防止剤=亜硫酸塩なのですが、その多くがワイン中の何かと結びついて無害な物質に変化します。この化学変化がワインにさまざまな良い影響をもたらすんです。

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